2011/04/16

諦めるもの、進めるもの

ここはキングデラの圃場。一面のタンポポが満開です。葉の緑と花の黄色が実にいいコントラストを放っています。 眼下には線路沿いの甚六桜が最後の力を振り絞って咲いています。そしてその向こうには一面ピンク色の桃の花が満開。ついつい、ここに寝っ転がって日向ぼっこしたくなります。 決して忙しい時期ではないのですが、ぶどうが萌芽するとあっという間に新梢が伸びて、もう待ってはくれません。なのでこの時期に済ませておかなければならない仕事も意外とたくさんあります。その一つが接木。去年まで栽培していた品種の蔓に、別の品種を接木して新しい品種を増やします。普通は苗木を植えて改植しますが、まだ若い木なのと、せっかく張った根っこがあるので、そこまでまた成長させるまでの時間がもったいないので、前の木を有効利用します。つまりこの木には、台木、前の品種そして新しい品種の3種類のぶどうが繋がっています。剪定のときに太い木から1本だけ残しておいた蔓を切断すると、切り口からどんどん水が溢れてきます。穂木ももう芽が膨らみだしてしまったので、芽を欠かないように慎重に接ぐ部分の切込みを整形し、接いだ瞬間に穂木の先端から水が溢れてきます。凄い圧力です。 こちらは去年育てた台木に接ぎました。 実は、春先、萌芽までにこれだけのことをしようと計画したものの、自分の体調不良にはじまり、まさかの大震災の影響で畑に作業に来られる人たちの足もピタッと途絶えてしまい、その人たちに少しだけ期待しながら予定していた作業も一つ二つと断念せざるを得ない状況。植え替えなど、どうしても今年やってしまわなければならないわけでもなく、ただ、ぶどうの木は生長してしまうので、一年でも早く作業しておいた方が楽なのであります。仕方ないなぁ、できることだけやっておこう、と思う人の気持ちを知ってか知らずかぶどうの芽は確実に萌芽に向かって生長し続けます。 一つ諦め、一つ進め、二つ諦め、一つ進め。今年はこんな一年になるのかなぁと、そんな春の予感なのです。

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